そもそもタックスヘイブンとは何か 何が問題なのか
オバマ大統領も関心を示しているパナマ文書流出事件で、何かと話題になっているタックスヘイブン・オフショア地域といった言葉だけどいかんせん言葉が独り歩きして中には政治や主義主張を織り交ぜてお話しされる人もいるみたいだし知らない人にとっては、いちいち難しいと思うんだ。今日は、何が悪くて何が問題なのかわかってない人もいるだろうからできるだけ簡単に書いてみたいと思う。
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そもそもタックスヘイブンとは何なの?
タックスヘイブンっていうのは小さな力を持たない島国などがうちの国に来ませんか、会社を興しませんか?企業を作ったら無税だよ、税金安くしますよ!等といった活動で資金を集めたり、企業や人を呼び込んでる地域の事。別名オフショア地域とも呼ばれたりする。この国にある会社には税金は税金を取られない、もしくは税金が著しく安いなどの企業にとってはものすごい利点があったりする。
元々は小さな国が貿易業などでこの地域が拠点になれば、定期的に船乗りなどが訪れて外貨を落としてくれるからできた制度で主に海洋国家がその例だったわけだ。
先進国においては通常、利益に対して課税されるしまともに払うとかなりの額を搾り取られるよね。でもこの地域に会社があれば通常より利益が増えるということ。その先進国にとってはタックスヘイブンへ金を流されると困るが他国の制度に首を突っ込むわけにはいかないのである意味放置されてると言っていい。
だから、タックスヘイブンは世界に存在し続けているわけだ。そうしておけばお金持ちの企業や人がどんどん金を持ってきてくれるし人も集まるしタックスヘイブン地域も企業もハッピーな関係になるからやめらんないんだよ。
で、タックスヘイブンの問題点は?
タックスヘイブンの問題点というのはその名の通りヘイブン(haven:避難所)という意味でヘヴン(heaven:天国)という意味じゃない。つまり税金がかからない地域へ金を逃がすという意図のもとタックスヘイブンと呼ばれてるんだよ。で、その逃がし方が問題なんだ。まず、タックスヘイブンに会社を設立する。これが実態のある会社であれば問題ないのだが悪用する奴というのは実体のない幽霊会社(ペーパーカンパニー)を設立する。実態がないから一つのビルに数万社が入ってるといったこともありうる。
そしてオフショア地域でない実態のある会社の営業利益を架空取引などによってこのペーパーカンパニーに移すわけ。で、実態のある会社の利益を目減りさせたりその国において税金を払わなくていいレベルにまで持っていく。タックスヘイブンの地域には金が渡り利益は出るがそこはタックスヘイブン地域なので税金がかからないか著しく税率が低い。で、本国では税金を落とす額が低かったりそもそも払わなかったりするから税収が落ち込む。これが問題点なんだね。
実際はみなし課税というものがあって、外国子会社との取引によって自国法人の利益を目減りさせたと認められる場合は課税されるが、調べようがないから課税されないというのが実情
問題はこれだけじゃない。犯罪組織も利用すること
さっきのは序の口よ。正直どうでもいいレベルだしホリエモンみたいに開き直って合法だろ?とかみんなやってるだろ?みたいな奴が出てくると途端に言い返せなくなる。さっきも書いたが他国の内政に干渉する事になるから手は出せない事が問題なんだ。
で、これを悪用して詐欺師などを筆頭とした犯罪組織がタックスヘイブン・オフショア地域に幽霊会社(ペーパーカンパニー)を設立して被害者から集めた金を送金する。で、個人情報を硬く守られてるが故に誰がどのように金を運用しているのか不透明になるんだ。特に日本人は英語ができなかったり現地の言葉がわからなかったりするから調べようにも調べる事ができないという困った事態にも発展するよね。
という感じで犯罪組織の資金源もタックスヘイブン・オフショア地域に眠ってるわけだ。要するにマネーロンダリングの温床にもなってるってこと。だからいくら合法だ!問題ない!といってもやり過ぎると他国も税収が上がらない、犯罪組織が強大化するなどのデメリットが出てくるよね。主な問題はこれなんだよ。
確かにこのパナマ文書には大企業の名前が連なってるけど、別に正当な投資目的でタックスヘイブンに金を移してるだけかもしれないし商船会社なんかは当然に利用してる制度なんだよ。ただ犯罪の温床になる事、過度な税逃れは今後も大きな問題として残っていくことになるだろうね。
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