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里山資本主義という短絡的な思想 田舎がパラダイスならなぜ衰退したのか

 

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)

 

 数年前の著書だが田舎暮らしのクソさを批判する身としては里山資本主義とやらが気になり読んでみた。そもそも成功例しか書いてないし現実をしらない人が妄想で書いた本としか言いようがないという感想。通貨を利用しない物々交換や地域通貨で地域活性という理屈は要するに共産主義を賛美して100年前に戻りましょうということ。

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資本を持っていない人は何もできない欠陥思想

里山を有効利用する事は素晴らしい事だと思う。だが、この著書では里山資本主義とやらがいかに素晴らしいかという説明しかされていない。過去に起こった失敗事例や何故田舎が衰退したのかも書かれていないし、一部の成功例を切り取って紹介している詐欺やマルチの手法と一緒。やたらとマネー資本主義を否定しているが、そもそも里山の資本を利用するにはある程度のインフラが必要だし輸送ルートや労働者が必要となってくるが今になって里山の有効活用に目が行くようになったのは現代資本主義で発展した市場経済のおかげなのにこれらを完全否定。

 

家庭菜園もやったことがないようなオッサンが成功例だけを書いてもこの程度の本しか書けないんだなぁという感想。日本の山林や農地には所有者がいるし全員がそれを持つ事ができるわけでもないのに恩恵を利用できない人はどうなるのか。現実を知らない人は理想をさも実現できるもののような言い方をするがまさにこの本がその代表例だろうと思う。

 

「【里山資本主義】かつて人間が手を入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティー復活を果たす現象。」

 

カバー裏の記述だが、どこらが原価0なのか突っ込みどころも満載だ。里山に経済再生ができるほどの材料が眠っているとしてそれらを掘り起こしたり伐りだしたり輸送したり利用するのは誰が無償でやってくれるのか?ボランティアがきて勝手にやってくれるのか。地主がいるとして無償で提供してくれるのかまったく考慮に入っていない。奴隷でも連れてくるつもりなのだろうか?夢物語を書くのは勝手だがある程度まともな事を書いてくれないと説得力に欠ける。

 

現実には、木を伐りだすのも大型の重機や化石燃料、それらを運ぶ車両や人員が必要なのだから原価0なんて事はあり得ない話だろう。バイオマス事業の殆どは赤字だし補助がなくなると存続すら危ういと総務書の資料には記載されているがこの本にはそのような話は一切指摘がない。バイオマス発電の発電は全体の1%程度だが廃材等の低コスト燃料がずっとあるわけでもないし、これ以上発電しようとすると今度は山林を切り開いて燃やすための燃料を確保しなければならなくなる。それが永遠に続ける事ができるのであればどんどんやればいいが、切り開かれた山林はそう簡単には回復しない。昔はそのやり方が良かったかもしれないが効率が悪いと言う事で発電方法を変えて来たという歴史がある。クソなバイオマス事業や里山でのビジネスが存続できているのは電力会社が低コストな発電で得た利益で買取を行っていることや補助金があってのもの。

 

あくまでもこの本の理屈は、田舎で暮らす際に個人的に山林の資材を利用する程度の話であってそれが大きく地域を支えるということはあり得ないし、それでうまくいっている人がいるとしても一部の人だけの話。こんな事ができるのであれば、この国では現在も田舎では過疎化に苦しんでないし各地方に満遍なく人がいる理想の世の中になっていることだろう。恐らくこの著書のターゲットはアホか共産主義の理想が忘れられない層に対して向けられたものなのだろう。宗教のセミナーやマルチ・詐欺ビジネスに騙される層も同様に騙されると思う。何故なら自分の頭で考えようとせず、理想だけ追い求めてずっと底辺を這いずり回ってる人が多いからである。

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